先週末のことだが、台風が到来した。外に出ることは難しいので、映画をみることにした。見たのはジョンカーニー監督作品の「シングストリート 未来への歌」という映画だ。
以前ジョンカーニーの「はじまりのうた」というのを見たことがある。一人の女性が落ちこぼれの音楽ディレクターと町の至る所でレコーディングをし、一つのアルバムを完成させるまでのお話だ。
ジョンカーニーという監督は彼自身が元バンドマンで、MVも担当していたようで、使われている音楽もよく、何より音楽に対する思いのようなものがすごく表現されていて、とても面白かった。
そのこともあって、他の作品も見て見たかったが、似たようなものを連続で見てしまうと、感動が薄れてしまうので、機が熟すのを待っていた。
舞台は80年代、大不況のアイルランドで、父親が無職になり、お金がなくより安い荒れた高校転校させられ、両親は離婚寸前と最悪な家庭環境の中、バンドを始める。バンドを始めた理由は一人の女の子に組んでもいないバンドのPVに出てくれないかと誘ったため。
きっかけはなんともしょうもないが、次第に本気になってくる。主人公の兄が音楽マニアでかっこいい音楽を教えてもらうとすぐに影響されてしまう。
その素直で単純なところが子供らしくて面白い。登場人物みんなが家族や社会など、それぞれの境遇から心の葛藤があり、必死で足掻いている。
それにしても、登場する80年代の音楽がすべてかっこいい。その年代の音楽に知識があるわけではないが、古臭い音楽は好きだ。理由はうまく説明できないが、音楽に対するものすごい熱量を感じる。
今の人たちの作る音楽が熱量が少ないと言っているわけではない。おそらく、今と比べて「相対的に」大きかったのだ。
今はみんなが様々なことを楽しんでいる。生活が多様化したのだ。それが最近よく言われる、「若者の〜離れ」の原因だ。生活が多様化し、何かを1つの方法に頼る必要がなくなった。結果として相対的に少なくなったため、そう言われるようになったのだと思う。
音楽も今のような嗜好品ではなく、生活になくてはならない生活必需品であったのだと思う。こんなことを言ってしまったら、その年代の人に怒られるだろうか。
この作品はそんな音楽に対する強烈な熱量を感じることができる。あっと驚くような展開はないが、熱くなる。自分もがむしゃらにやってみようかなと思える映画だ。
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