なんだかんだで11月。家の中でも長袖一枚じゃ肌寒い。ぎりぎり間に合うかなとベランダのプランターにほうれん草の種を撒いてみたが、なかなか芽を出しそうにない。
あぁ、無情。時間はあっという間に過ぎていく。そんな中で、何か残すことができているのか常々不安だ。そんな気持ちもあって、ブログを書いているわけだが、始めてから2年が経ち、記事の数もこれで46個目だ。
ブログとしては少ないほうだとは思うが、少なくとも2年で46回は本や映画を見て、心が動いたということだ。ブログにしていない本もたくさんあるし、たまの旅行とか買い物のときにも新しい気付きがあったりする。「テレビのあのシーンが面白かった」とか「あの曲のここがかっこいい」といった瞬間的なものを含めると、もう無数だ。
何気なく過ぎているようでも、案外かけがえのない日々を生きている。そう思える本がある。木皿泉さんの「6粒と半分のお米」だ。
木皿泉さんは日常をテーマとしてドラマの台本や、小説を書いている。以前記事にも書いた「昨日のカレー、今日のパン」は私が最も好きな小説のひとつだ。
この「6粒と半分のお米」はエッセイ、インタビュー、対談、ラジオドラマのシナリオなどバラエティーに富んだ内容で構成されている。対談では脚本を務担当した「Q10」で主役を演じている佐藤健さんと映画「るろうに剣心」の舞台裏や、演技について語っている。
でもなんと言っても、エッセイが面白い。木皿泉さんのエッセイはどれも日常から切り取ったものだ。誰も気にも留めない、どこにでも転がっていそうな日常の出来事(例えば、宅配便のダンボールの中の6粒と半分のお米)の中に、人間の繊細な心の動きとか、縁のようなものを感じ取り、ストーリーを見つけてしまうところがすごい。
どうしても日常の中に”何か特別なこと”が起こらないかと願ってしまう。でも実はその”何か特別なこと”は日々の積み重ねの中に、床に落ちている米粒のように潜んでいるのかもしれない。
日々を大切にしよう度★★★★★
考えさせられるエッセイ度★★★★☆