7月6日からの大雨によって、広島はごちゃごちゃになった。
私は幸い生き延びることができたが、たくさんの犠牲者が出てしまったようだ。私の家の周辺でも道路は崩壊し、土砂で塞がれている。仕事は休みとなったが、正直それどころではない。
6日の夜に私は逃げるように車で避難した。その夜私の地域には避難勧告が出ていたが、この辺りは川沿いということもあり、頻繁に避難を呼びかけるアナウンスがされるため、またかという感覚だった。そのため、今回も避難はせず、何度か窓から外の様子を確認する程度だった。
しかし、この日は今までと違っていた。窓の外を見てみると、30分前までなんともなかった玄関前に水がたまっていた。財布とスマホと一日分の着替えだけ持って、家を飛び出した。その時すでにくるぶしまで水が来ていた。
車で移動しようとするもすでに渋滞。ガソリンをあまり入れていなかったことを後悔しながら、じわじわ進んでいたが、進んでいるのは山沿いの道で小さな土砂崩れが起きていた。通ろうと思えば通れるが、いつ崩れてもおかしくない山肌を見て先へわ進めないと判断して、Uターン。しかし、逆方向の道も水没しているらしく、どこにも行けないので、ホームセンターの屋上駐車場に避難。そのまま車の中で一晩明かすことになった。
避難をして、不安の中で思ったことは、本当に大切なものは意外と少ないということ。家の中の家具や、家電がダメになってしまっても後から買い直せば良い。家も別のアパートを借りればいいかなと思っていた。
ただただ自分と家族、知り合いの人たちが元気でいてくれることを願った。
少し後悔していたことといえば、まだ読んでいなかった積読本を読んでおけばよかったなという、とても些細で、危機感のないことだった。
今は全員が目先の食料や水の確保をどうしようかと考えながら必死に生活している。しかし、そんな中でも絶望感はない。今まで経験したことがないはずなのに、地域のみんなで、協力しあって道の土砂を取り除いたり、たまった水をバケツリレーで川に戻している姿には正直驚いた。
みんなただただ、今まで通りの生活が戻ることを目指して、みんなで協力して復旧作業に当たっている。
今、ネットでは誰々が不謹慎だなどと見つけては批判すると「 不謹慎探しゲーム」みたいなことが起こっているようだ。そのように騒ぎ立てる人の殆どが災害に関係のない人たちだ。私から見ると、災害が発生したことを利用して、ただ人を貶めたいだけのようにしか見えない。現地の人たちが望んでいるのはそんなことではない。
人気ユーチューバーのHIKAKINさんが早速寄付をしていただけたそうだ。また、台湾の総裁も支援の用意があるという発表をしている。金額の大小は今はあまり重要ではない。私たちのことを思って頂いているその気持ちだけでも非常に有難い。
現地の人にとって、今は人の悪い部分への批判の気持ちより、人々の思いやりの気持ちに対する感謝の気持ちの方が断然大きい。こんな状況だからこそ人の優しさを感じたいし、実際に感じることが多い。だから、今は不謹慎な行為をネットに晒すのではなく、人々の善意を拡散して欲しい。
今みんなが求めているのは小さくても確かな人の暖かさだと思う。