積読本が多すぎる。積読をしてしまう理由はおそらく二つある。1つ目が買ったことに満足してしまうことだ。
自分のものにしたことに安心して、時間があるときに読もうと考えて、すっかり忘れてしまう。
もう一つは読み惜しみだ。別の本を読んでいる状態で本屋に行き、「これは絶対に面白い!」と思うものに出会う。その本に集中したいから今読んでいるものが読み終わってから読もうと本棚に置いて、そのまま積読本になってしまう。
時々その本を持っていたことすら忘れて、見つけた時に初めて出会ったような新鮮な気持ちになることがある。「こんな本買ってたんだ、やるじゃん過去の自分」という感じだ。森絵都さんの「出会いなおし」もその一つだった。
森絵都さんの本はかなり昔に「カラフル」という作品だけ読んだことがある。その頃はあまり好きじゃないなと思い(そもそも本を読む人間でなく良し悪しもわからなかった頃)、それ以来森絵都さんの本にはやや苦手意識があった。
しかし無数の気球が飛んでいるポップな表紙と帯に書いてある、「年を重ねるということは、おなじ相手に、何回も、出会いなおすということだ。」という一文に興味を惹かれ、手に取った。
まさに「出会いなおしだ」
6つの話からなる短編集で、一つ一つはすごく短いが、どれも個性的で、パワフルだ。結構ファンタジー要素が多く、少し驚かされる。
初めは何の変哲も無い日常だが、そこに至るまでにはそれぞれに紆余曲折があり、それがわかった時にぐっと心を動かされる。
この本では「過去」と「現在」をテーマとしているように思う。
どの話も生活のある一瞬のことを描いており、時間にするとほんの少しの間の話だ。その一瞬は突拍子もなく、突然やってきているように見えるけれど、今までの人生の積み重ねから起こる一瞬だ。
一つの出来事の背景にはその人が今までの人生の中でどのような経験をしてきたか、どのような選択を行なってきたかが現れる。それは意識してそうしてきたことや、自分ではコントロールできないものまで様々だ。
今のこの一瞬一瞬は今までの人生そのものだ。
森絵都さん、恐るべし。ストーリーもさることながら、6編全てで一貫しているメッセージに考えさせられるものがある。
自分がこのブログを書いていることも、そして、たまたまこのブログを読んでいただいたこともそれぞれの人生の積み重ねからもたらされた「縁」なのだと勝手に感じた。
その「縁」を大切にして、また「出会いなおし」てもらえるようなブログを書いていきたい。
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